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ハレの日の地引網

地引網 (写真:笹倉奈津美)

能登半島の首元に位置し、日本海や富山湾を臨む富山県・氷見市。寒ブリ漁で知られるこの地域で、2016年7月、笹倉慎也さんと奈津美さんが「フクラギウエディング」を開催しました。

その翌日。宿泊したゲストと向かったのが、地引き網を体験することができる「島尾キャンプ場」。地引き網とは、古くから氷見に続く沿岸漁業の漁法のひとつ。この日は地元の方たちと一緒に漁獲します。

585(写真:笹倉奈津美)

教えてくれたのは、新婦の知り合いで漁師の岩上さん。

13995422_1143156979085163_346131180972385586_o(写真:笹倉奈津美)

富山に引越してきて間もない頃、偶然立ち寄った海沿いの神社で岩上さんと出会った奈津美さん。お祭りの準備のため朝から近所の町内の方が集っていたその日、お父さんたちに混ざって一緒におしゃべりしていると、話題は結婚式に。

「地引網をやりたい」と持ちかけると「地引網を結婚式でやりたいっていうやつ聞いたことないわ! もう身体も疲れてきてるし、今年までしかやらんぞ」と、岩上さんは呆れていたと言います。

出来ないと言われてがっかりした気持ちを隠しきれない奈津美さんの顔が見えてしまったのか、帰り際に岩上さんが渡してくれたのが「フクラギ」でした。

スクリーンショット 2016-08-01 17.36.28「刺身しか買ったことがないから、もらっても捌けない」と断ろうとしたら、「なんでもやってみられ」と言われ、家でYouTubeをみながら(慎也さんが)頑張って捌いたのだそう。「不恰好なお刺身になってしまったけど、とてもおいしかった」と、懐かしそうに振り返ります。

それが1年後、同じ神社でまた岩上さんと遭遇。「おまいら、もうちょっこしで結婚式やろう。どうや、地引網やるんだろ。わしのところでやっていいぞ」と、急に乗り気の声! そこからアドバイスをいただいて、念願の地引網が開催できることになったのだとか。

そして、またお土産にフクラギを渡されたふたり。今年は氷見の郷土料理の昆布締めにして実家に送ったり、人におすそ分けしたのだそう。少し前までは「魚なんて捌けない!」と言っていたのに、いまではすっかり地元の暮らしに溶け込んでいる様子。

「移住して1年半の自分たちには、立派なブリよりも、半人前ぐらいのフクラギがちょうど良い。『福来魚』という漢字も縁起が良さそう」。フクラギウエディングという名前は、そんな地元の人や土地とのつながりから生まれました。

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DSC_4793(写真:中津 粋)

地引網のひと仕事を終えた後、とろろ昆布のおにぎりと大漁鍋がふるまわれました。疲れた身体に、磯の味がじんわりと染み渡ります。

ハレの日を通じて、古くから伝わる文化や郷土食を知ってもらうこと。それが、また新たな縁を地域に運んだり、次の世代へとつなぐきっかけになるはず。手伝ってくれたお父さんたちも、特別な一日を一緒に楽しんでくれたのではないでしょうか。

●氷見地引網体験の予約はこちらから
※来年以降の開催は要問合せ

写真:中津 粋、笹倉奈津美、H.O.W
文:原山幸恵(H.O.W)

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