H.O.W Articles

商店街が一夜限りの映画館に「Happy Outdoor Theater」

(Movie撮影:TOMOMI_Type、編集:マッタ創作所

いつもは新郎新婦のための企画を行うH.O.Wですが、今回は子どもたちのための企画! 向かったのは、山形県は西部に位置する鶴岡市。駅前通りを南に下ると、昔ながらの商店が軒を連ねる「山王商店街」という通りがあります。

その商店街が最も賑わいを見せるのが、5月から10月にかけて月1で開催される「山王ナイトバザール」というお祭り。商店街に屋台やマーケットがずらりと登場し、毎回4,000人を超える人々が訪れます。しかし、高齢化、少子化が進み、ちょっとさみしくなってしまったという商店街の地域課題もあります。

子どもたちに素敵な夏の思い出を贈ろう!

14358656_943571819104061_8584775370270755547_n

(写真:五十嵐 丈)

そんななか開催されたのは、2015年11月にリノベーションまちづくりの本質を実践的に学ぶ「リノベーションスクール@鶴岡」。商店街の物件を担当したユニットから提案されたのは、まちなかを劇場として見立てた「まちなかシネマ」。これを機に、講師役であるユニットマスターを担当した設計事務所スターパイロッツ代表・三浦丈典さん(偶然にもお母さんが山王町出身!)と地元のメンバーたちが「Happy Outdoor Theater実行委員会」を立ち上げ、隣ユニットのマスターであったH.O.W代表の柿原も、H.O.Wメンバーとともに参加することに。

三浦さんが隊長となって始まったこのチャレンジ。開催するのは、お祭り開催の日の商店街。車輌規制が行われて歩行者天国になるのは、本当は、年に一度だけ(毎年8月のお祭りのみ)。通常なら9月は車輌規制が行われないはずですが、今回は子どもから大人までのびのびと映画を楽しんでもらうため、特別に許可をいただけることに。映画を上映するための機材や放映権、一時的な道路封鎖、子連れのお母さんたちがより快適に過ごすための人工芝などの備品に必要な費用は、山王のまちのみなさん、そして全国のみなさんに呼び掛けてクラウドファンディングで集めました。

通りのど真ん中にスクリーンが登場!

開催当日。H.O.Wは、会場設営統括と開催オペレーションを担当。スクリーンを設置するのは、かつて家具屋さんだった建物。実は老朽化により閉鎖され、もう随分長い間空いている状態なのだとか。

Processed with VSCO with s3 preset

(写真:H.O.W)

14333807_943573779103865_114262378615877682_n

(写真:五十嵐 丈)

作業をしていると、道行く人が「ここで何か始まるの?」と尋ねてきます。「映画を上映するんです」と伝えると、「へえ! じゃあ後で観に来るよ!」と嬉しそう。

14324259_943573209103922_2026655599357470635_o

(写真:五十嵐 丈)

Processed with VSCO with s3 preset

(写真:H.O.W)

封鎖した道路の上に、人工芝が敷き詰められます。子ども心をくすぐるゲートや柵は、すべて地元のデザイナー・高橋弘さん作。柵を彩るオレンジと黄色のガーランドも、すべて地元スタッフによる手づくり。会場の目印となる素敵な看板を描いてくれたのは、仙台から駆けつけて来てくれたアーティスト「Tomomi_Type」こと、松田友望さん。

14290030_943572629103980_929504183129433040_o

(写真:五十嵐 丈)

Processed with VSCO with s3 preset

(写真:H.O.W)

そして、会場の準備が整い、いよいよ始まるぞ、という高揚感が会場を包んでいたその時、なんと空からは大粒の雨……。天気が崩れることは事前に予報で把握していたので、客席となる芝生にテントを配置(お天気の心配と対策は、アウトドアウエディングと同じ!)。そして、開場時間が近づくと、ゲートの前には親子連れのお客さまの姿が。

14362495_943576559103587_1097104363586785277_o

14409562_943576939103549_1261134775317259574_o

(写真:五十嵐 丈)

雨も気にせず、オープンと同時に走って芝生に寝転ぶ子どもたち。

14324162_943578665770043_5603270824599391961_o

(写真:五十嵐 丈)

上映するのは、子どもとおとなが一緒に楽しめる「ジュラシック・ワールド」。上映作品はもちろん、上映機材は、すべて地元の映画館の「鶴岡まちなかキネマ」さんが用意してくれました。世界初(?)アナログ4D上映ということで、黒子に扮したスタッフたちが、会場のいたるところに忍び込みます。

14380078_943576059103637_2985772437462349503_o

(写真:五十嵐 丈)

水しぶき代わりに農作業用の噴霧器とペットボトルの水を振り掛けたり、瓦礫に見立てた発泡スチロールと新聞紙を投げたり。うまく投げられなくても、それはご愛嬌。客席からは、テンションが上がった子どもたちの叫び声と笑い声が飛び交っていました。

14368862_10153642730352723_3464307254891994130_n

14380132_943581312436445_8065434723952599978_o

(写真:五十嵐 丈)

プテラノドンが群衆を襲うシーンでは、スターパイロッツのスタッフさんが段ボールで制作したオリジナル(でも本格的!)のプテラノドンが客席の上空を舞います。

Processed with VSCO with s3 preset

(写真:H.O.W)

そして、いよいよ映画はクライマックスへ。最後のシーンが終わった瞬間、山形県の庄内名物「からからせんべい」などのお菓子が撒かれました。まさかのサプライズに子どもたちは大喜び。夢のような時間はあっという間に過ぎたけれど、「楽しかった!」「また来年も来たい!」と、みんな笑顔で会場を後にしました。

子どもたちに「まちの記憶」をつくる

14311244_943582015769708_7132528412998492965_o

(写真:五十嵐 丈)

アウトドアシアターを通して若い人たちに山王商店街の魅力を知ってもらうことのほかにもうひとつ三浦さんが描いていたのは、「まちの記憶」をつくること。

「小さな子どもたちが夏の夜の思い出としてお祭りを楽しみ、みんなで楽しんで映画を観た、というあたたかい『まちの記憶』が自分の地域に愛情を生み、積み重なって将来このまちへ恩返ししよう、という気持ちを醸造していけたら嬉しいですね」

イベントを開催するためには、資金面の課題や道路の許可取りなど、さまざまな壁を乗り越えていかなければなりません。それでも今回無事に開催出来たのは、商店会組合のみなさんを始め、行政や地元の皆さん、そしてなによりもイベントに共感して出資してくれた多くの方の存在があったからこそ。

地域によってもちろん環境は違えど、実現出来る方法を考えてみるところから最初の一歩が始まります。どんな場所でもアウトドアウエディングが出来るように、今まちにあるものを活かしながら編集することが出来れば、わくわくするイベントが開催出来るはず。

「山王ナイトバザール」公式ページ
開催時期:5月〜10月
「山王商店街」Facebookページ
「Happy Outdoor Theater」Facebookページ

写真:五十嵐 丈
文:原山幸恵(H.O.W)

Recent Articles...

TOP