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【富山・氷見】フクラギウエディング

28389792130_b290130a23_z(写真:京角真裕)

移住先で見つけた「福」

能登半島の首元に位置し、日本海や富山湾を臨む富山県・氷見市。寒ブリ漁で知られるこの地域に笹倉慎也さんと奈津美さんが東京から移住してきたのは、2015年の春。入籍を済ませ、「ハワイで式を挙げようか」と話していた時期もあったそうですが、氷見で暮らし、美しい風景やおいしい食べ物と出会ううちに「氷見で挙げてみよう」と思ったとふたりは言います。

「自分たちが住んでいるまちの良さを共有したい。そのためにも、自分たちで結婚式をつくりたいと思ったんです」

そして翌年2016年7月。頼れる友人や地元の人たちの力を借りながら、ハレの日を迎えました。テーマは「笹倉夫婦が氷見で出会ったステキな風景・おいしい食べ物 福の来る楽しいおすそわけ会」。名付けて「フクラギウエディング」!

「フクラギ」とは、出世魚ブリのふたつ若い呼び方のこと。移住して1年半の自分たちには、立派な「ブリ」よりも、半人前ぐらいの「フクラギ」がちょうど良い。「福来魚」という漢字も縁起が良さそう。そんな理由から名前が決まりました。

結婚式をつくる過程を限界まで楽しむ

「自分たちが大切にするものを見つめ直したい。たとえ準備が大変でも、自分たちらしい感謝の気持ちを贈りたい」。そう思い、フードやドリンク、音楽演奏、司会など、今回のコーディネートはすべて奈津美さん自身が担当しました。

「プロにお願いする時は、その人が出店しているイベントに出向いて挨拶をしたり、友だちには『たくさん考えたけどあなたしかいない!』『参加費はもらわないから一緒に盛り上げる役をしてほしい!』とその気持ちを伝えました」

IMG_0147-1024x768(写真:笹倉慎也)

セレモニー会場に選んだのは、ふたりがいつも散歩で通る松田江浜。前日は「フクラギウェディング・クリーン作戦!」と題し、集まった友人たちとともにゴミ拾いからスタート。

スクリーンショット 2016-08-05 13.31.16(写真:笹倉奈津美)

もともと浜辺に落ちている漂着物を拾い集める「ビーチコーミング」が好きだという奈津美さん。拾った貝は金継ぎをほどこして、ドレスと合わせるアクセサリーに。

28058206894_9cebc6ca91_z(写真:藤森 暁)

いつもの砂浜をセレモニー会場へと変える木のアーチは、家具職人の友人の手づくり。その前に並ぶゲスト用のベンチも、移住仲間が新郎新婦と一緒に山から切り倒してきた木を使ってつくりました。

28674911795_a1a221f5c1_z 28674915075_a5a0b975ce_z(写真:藤森 暁)

セレモニーの時間が近づくにつれ、夏らしい青や白のサマードレスやシャツに身を包んだゲストたちが続々と会場に集まってきました。

28056930614_49ed69ed84_z(写真:藤森 暁)

そして、新婦がお父さんと入場。大切な人たちにあたたかく見守られるなか、砂浜のバージンロードを歩みます。

28389797370_d086ef28d0_z(写真:京角真裕)

ドレスは、あまりお金をかけずにと、奈津美さんの友人がコーディネート。結婚証明書代わりの木のボードも、この風景とよく合います。

セレモニーを終えると、近くの氷見海浜植物園に移動してパーティー。この中庭は特にふたりのお気に入りの場所。会場準備は大変でしたが、施設の方にもご協力いただき、いよいよ待ちに待ったパーティーがスタート。

28642843106_23f84f5c29_z 28675082605_c61bc457a8_z(写真:藤森 暁)

28596794881_15442907c3_z(写真:京角真裕)

この日のために友人と種から育てたというベニバナをはじめ、黄色の花がテーマカラーのひとつとして会場を彩ります。

氷見の“おいしい”をおすそ分け

28596801921_a6c5a98ddc_z 28568630932_25b970d294_z(写真:藤森 暁)

お料理を担当してくれたのは、「遠くの風景と、ひとさじのスープ。世界とわたしの手のひらは繋がっている」をコンセプトに活動する富山県・射水市出身のフードアーティスト「風景と食設計室 ホー」の永森志希乃さん。

DSC_4683 DSC_4694(写真:中津 粋)

地魚料理小杉前」のおすすめの氷見の魚や「氷見元気やさいの会」がつくった新鮮な野菜など、富山産の食材を中心に新郎新婦が大好きな「海」をモチーフにした美しくおいしい風景のかけらが散りばめられた料理が並びました。

13838473_1038476256237654_2118729000_o(写真:H.O.W)

階段スペースを活用した流しそうめんは、氷見の里山を舞台にさまざまなワークショップや小商いを実践している「氷見のたからさがし研究所」のみなさんが全面的に協力してくださった演出。実は、新婦もこの活動メンバー。本物の竹を使った立派な流し台に、子どもたちもすっかり夢中!

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DSC_4742(写真:中津 粋)

パーティー気分を盛り上げてくれる木製のドリンクカウンターは、滋賀県でワイン屋を営む友人がつくったもの。イベントで見かけ、その雰囲気の良さに惹かれた新郎新婦の強い希望により、今回特別に運んでもらったのだそう。夜になるとカウンター内に明かりが灯り、しっとりとした空間に。

DSC_4697(写真:中津 粋)

ドリンクにも、おもしろいことが好きだという奈津美さんらしいこだわりが。ジンジャエールとサングリアは、地元の飲食店のご協力を得てつくったオリジナルレシピ!ウエディングをきっかけに地元の人同士ももっと深く知り合うきっかけになってほしい、そんな想いが伝わってきます。さらに、ビールは新郎と新婦ご両親の手づくりで、新婦の地元・茨城の「木内酒造」で醸造しました。

マルシェ 13839767_1038507246234555_2147088186_o(写真:H.O.W)

ゲストに渡すギフトは、チケットと引き換えで好きなものを選んで持ち帰ることが出来る「引出物マルシェ」という演出。氷見のおみやげとして大人気の煮干や鯛のかまぼこ、移住仲間の友人がつくっている干物やピクルス、竹炭などが並びました。ほかにも、茨城のわら納豆や笠間焼の豆皿など、氷見だけにこだわらず、ふたりがみんなに知ってほしいと思うものをセレクト。横に添えられたメッセージカードには、つくり手のことや購入出来る場所などが丁寧に紹介されていて、地域の人たちへの愛を感じます。

IMG_1354(写真:京角真裕)

ケーキカットで登場したのは、フクラギの形をした(巨大な)特製かまぼこ! 華やかなお祝いの席に色鮮やかな「細工かまぼこ」を贈る富山の習慣をアレンジして、地元で親しまれている老舗のかまぼこ屋「三権商店」にお願いしてつくっていただきました。

dance(写真:H.O.W)

富山で活躍する友人のアイリッシュバンドの陽気な音楽に包まれながら、食べて、笑って、踊って。古いものも新しいものも大事にしながら、自分たちらしい演出でたのしむ。そうして集まった人たちのつながりによって、幸せな時間が流れていました。

「福」から生まれるきっかけ
28642782906_bfd0fb6928_z(写真:藤森 暁)

翌日。宿泊したゲストは、地元の方たちと一緒に古くから続く沿岸漁業の漁法のひとつ「地引き網」を体験。(その様子は「ハレの日の地引網」にて!)満喫した表情で、氷見を後にしました。

「もしまた氷見に来ることがあったら、その時にもまた私たちのWEBサイトを参考にしてもらえたらうれしい」と奈津美さん。ふたりが招待状代わりにつくったサイトには、おすすめスポットやレストランなどが紹介されていて、眺めているだけでつい行きたくなるほど。

自分の得意なことで参加したり、仲間の得意なことを見込んでお願いをしたり。「限界まで楽しみたい!」と最初に宣言していたふたりらしい、盛りだくさんの企画でした。

ハレの日は、これまでお世話になった人たちに感謝を伝えるだけではなく、自分たちが暮らす地域の魅力をプレゼンする絶好のチャンス。一回訪れたゲストも、ふたりからおすそわけされた氷見の「福」にすっかり心とお腹が満たされたはず。

開催時期:2016年7月23日(土)
開催時間:16:00セレモニー / 17:00パーティー
開催場所:松田江浜(セレモニー)、富山県氷見市海浜植物園(受付・パーティー)
参加人数:100人
費用  :15,000円(小学生以下は無料)
準備期間:6ヶ月

招待状がわりのウェブサイトはこちら

●このウエディングを作った人たち●
企画・運営:H.O.W
コーディネーター:笹倉奈津美(新婦)
フード:風景と食設計室 ホー
流しそうめん:氷見のたからさがし研究所
ドリンク協力:café風楽里ひみつカレー
バンド:hedera
フラワーデコレーション:JUIN fleuriste(青砥ミナ)
ドリンク用バーカウンター制作:Threee(Miura Hiroaki)、atelier Tango(Yuya Miki)
セレモニーのアーチ、屋台制作:takagu(高木博之)
※屋台はアートNPOヒミング所有
セレモニーベンチ制作:サントス、じーの、ロック
かまぼこ制作:三権商店
写真:藤森 暁、京角真裕、中津 粋、笹倉奈津美、H.O.W

取材・文:原山幸恵(H.O.W)

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